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ドラムシティ オリジナル スティック 其の7 Big ear Mark2
この世には無数の種類のスティックが存在しますが、皆さんはどんなスティックをお使いでしょうか?
長さ、太さ、重さ、バランス、チップの形、素材など、こだわる点が沢山あると思います。
スティックメーカーやドラムメーカーからも数多くの選択肢が提供され皆様の要望に応えるべく、常にラインナップは拡張と収縮を繰り返しています。
しかし、「あのモデルのここがもう少しこうなっていれば」、「廃番になってしまったあのモデルが欲しい」など、様々な意見を寄せられることも少なくはありません。そんな中、ドラム・シティではこだわり抜いた、痒い所に手が届く数種類のオリジナルスティックをご用意。
ドラム・シティ オリジナルスティックレビュー第7弾!!
今回も引き続き、浅草ドラム道場 講師の市川宇一郎氏に講評をいただき、その使用感やこだわりポイントをお伝えして参ります。
皆さんのスティック選びにご活用いただけたらと思います。
※この記事は2022年10月発行「JPC 174号」に掲載されたものに加筆修正をしたものです。
▶ 今回ご紹介するのは Big ear Mark2
その名の由来は、某有名ジャズドラマーが常々口にしていた「耳の良い人」を表した言葉。
音を理解し音を選べるプレイヤーになってほしいという願いのもと製作いたしました。
原型となった某有名JAZZドラマーモデルには2種類あり、そのネーミングからおわかりいただけるように、前回ご紹介したMark1とは兄弟関係にあたります。
良質のメイプル材を使い程よいグリップ径を確保した上で、絶妙なテーパー角度を決めております。
これによりしっかりグリップできる上にバウンドも軽快で幅広いダイナミックスレンジも確保いたしました。ドラマーのみならずクラッシックスネアドラム演奏者にもお奨めです。
▶ 市川宇一郎さんに実際に試していただき、使い心地など、感想を伺いました
「しばらく見ないうちに、ちょっと太ったね。背も伸びたみたい」って、これ、今回のスティック、某有名JAZZドラマーモデルのはなし。
もう、かれこれ40年前のこと、某P社から発売されていたヒッコリー材のモデルは、チョット寸づまりで、ネックもさほど細くなく、どっちかと言えば、タイトで直線的なリズムに合いそうなモデルでした。そんな記憶があったので、今回のモデルを見たとき、思わずさっきの言葉になったのでした。
今回のモデルを手にとってみると、以前より太さは増したけれど、振ったときのストレートな感じは前のと似ている感じがします。これには今回のモデルに使用されているメイプル材の影響があるのかも知れません。というのも、ヒッコリーとくらべると、メイプルはしなりが少ないので直線的な感じになるからです。
ひょっとすると、このモデルを使用していた某有名JAZZドラマーはしなりのあるスティックよりも、直線的にバシッと反応するものを好んでいたのかも知れません。スティックのしなりがつくり出す「揺らぎあるリズム」よりも、自分が叩いたとおりの「素直なリズム」を優先していたのでしょうか?
それとも、そんなこととはまったく反対に、スティックなんか何でもいいのであって、ニンゲン的な揺らぎのあるグルーヴなんてものは、スティックのしなりなんかに頼るんじゃなく、自分の身体(筋肉)がつくるんだ、という考えだったのかも知れません。だとしたら、まさに「弘法、筆を選らばず」って感じですね。
ともあれ、特筆しておきたいのは、やや短めの誰が叩いても直線的なリズムになりやすい旧モデルに対し、今回のはそれを打ち消すほど十分に長めにつくられている点です。(なんとヴィック・ファースの5Bよりもほんの少しだけ長い)。私はそこに某有名JAZZドラマーの際立った変化、言い換えれば、スティックのしなりに対する考え方の変化を見いだしています。
さて、今回のモデルの標準的な重さはと言うと、だいたい46~48グラムくらい。私にとってはちょっと軽めなので、50グラムを越えるものを2セット選びました。たった2~3グラムの差ですが、シンバルを叩くと違いがハッキリ出ます。重いのはどっしりした落ちついた音になるんです。存在感が増すと言ってもいいでしょう。もっとも軽いシンバルの音を好むのなら話はべつで、標準的なウェイトのほうがマッチします。
前回も書きましたが、スティック選びで大切なのは、音です。(私にとって、ですが)。おなじ重さのスティックを選び出しても、音に違いがあるのはあたりまえなので、それを慎重にチェックしながら、最良のペアを選び出すのです。当然、時間がかかります。そこがスティック選びのやっかいなところですが、面倒臭がらず、時間をじっくりかけて、いいペアをチョイスしてください。
今回のモデルは、ジャズによしロックによしとジャンルを選ばない使い方が期待できるものです。きっとみなさん期待を裏切らない逸品になるでしょう。
執筆者:市川 宇一郎 、ドラムシティ(木澤)