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ドラムシティ オリジナル スティック 其の3 Ex.STANDARD RB7A
この世には無数の種類のスティックが存在しますが、皆さんはどんなスティックをお使いでしょうか?
長さ、太さ、重さ、バランス、チップの形、素材など、こだわる点が沢山あると思います。
スティックメーカーやドラムメーカーからも数多くの選択肢が提供され皆様の要望に応えるべく、常にラインナップは拡張と収縮を繰り返しています。
しかし、「あのモデルのここがもう少しこうなっていれば」、「廃番になってしまったあのモデルが欲しい」など、様々な意見を寄せられることも少なくはありません。そんな中、ドラム・シティではこだわり抜いた、痒い所に手が届く数種類のオリジナルスティックをご用意。
ドラム・シティ オリジナルスティックレビュー第3弾!!
今回も引き続き、浅草ドラム道場 講師の市川宇一郎氏に講評をいただき、その使用感やこだわりポイントをお伝えして参ります。
皆さんのスティック選びにご活用いただけたらと思います。
※この記事は2021年10月発行「JPC 170号」に掲載されたものに加筆修正をしたものです。
▶ 今回ご紹介するのはEx.STANDARD RB7A
特注モデルとして1ショットのみの生産で終了してしまった、ヴィックファース社AH5A/PINK。追加生産が出来ない事を知った、多数のユーザーから相談を受け、制作をスタート。AH5Aのバランスをほぼ忠実に再現し、誕生に至っています。
品番の「RB7A」は、このモデルの制作アイディアをいただいた2人の女性ドラマーを指し、「Ex.STANDARD」は「まさに標準」を示しています。
重すぎず、軽すぎない、グリップ感とバランスの良さは、すべてのドラマーにオススメです。
▶ 市川宇一郎さんに実際に試していただき、使い心地など、感想を伺いました
『今回、紹介するのは、かわいいピンクのスティックです!』と言ったら、「よりによってピンクのスティックかぁ。女子ドラマーじゃあるまいし、オレたちにはチョットね」とか「やっぱりスティックは木目でなくちゃ。ピンクのスティックなんて、ふざけてるみたい」なんて声が聞こえてきそうですね。
でもね、ふだんどっちかと言えばカタい人とか、あんまりハデじゃない人とか、マジメで通ってる人が、さり気なくピンクのスティックを取り出して、ナニ食わぬ顔で叩き出したら、みんなビックリするでしょ。それがイイんですよ。まさにサプライズの極致。
まぁ、それはそうと、このスティックを見て「なんか見覚えがあるな」と思いません?
そうです。これ、ヴィック・ファース社の「5A」モデルとほとんど同じサイズなんです。そこは、このモデル誕生のウラ話もあるんですが、それはともかく、数あるスティックのなかの標準モデルと言えるこの5Aと同じサイズで材質にはメイプル、塗装にはきれいなピンクを採用したのが、今回のモデルなんです。だから、悪いワケがない。たんなるピンクのチャラチャラした安物スティックじゃないんです。
実際、手にとってみてください。さきのV・F社のヒッコリー材の5Aとくらべると、このモデルはメイプルなのでかなり軽量です。だから音も軽く、明るい。
それだけではありません。ヘッドやシンバルを打ったとき、パチンッというメイプル特有の硬めのタッチがあります。しなりのあるヒッコリー材のやわらかくヘッドにのめり込むようなタッチと比べると、メイプルのは直線的なタッチです。それはオーク材の硬くて重いタッチでもありません。メイプルのタッチには、軽さがあります。
でも、そんなメイプル特有の軽さを嫌う人もいるでしょう。そんなドラマーには、あえて重たい個体をオススメします。今回のモデルの平均的なウエイトは40グラム台後半(46 ~ 48グラムあたり)ですが、私の選んだ50グラム台だと音に重みが増してきます。それでもおなじ重さのヒッコリーよりも軽い音だと感じられますが、慣れてくれば、さほど違和感はないでしょう。
最後に、ちょっと突っ込んだ話になりますが、メイプルとヒッコリーを比べると、軽いか重いか、明るいか暗いか、直線的か粘りがあるか、という違いだけではなく、ヒッコリーのスティックで叩いた音には、ウェットでしっとりした「落ち着き」、もっと言えば「哀しさ」があります。それに対して、メイプルのスティックで叩いた音は、あくまでもドライでサッパリしている。屈託がないんです。
そんなことを考えながら、自分にはどんなスティックが向いているのか、あれこれ模索してみてください。スティック選びがもっと深まってきますよ。
あとは、みなさん自身がスティックを手に取って確かめてください。
それでは、また次回!