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ドラムシティ オリジナル スティック 其の1 DX-18(Oak & Hickory)
この世には無数の種類のスティックが存在しますが、皆さんはどんなスティックをお使いでしょうか?
長さ、太さ、重さ、バランス、チップの形、素材など、こだわるポイントは沢山あると思います。
スティックメーカーやドラムメーカーからも数多くの選択肢が提供され皆様の要望に応えるべく、常にラインナップは拡張と収縮を繰り返しています。
しかし、「あのモデルのここがもう少しこうなっていれば」、「廃番になってしまったあのモデルが欲しい」など、様々な意見を寄せられることも少なくありません。
ドラム・シティでは、そんなご要望にお応えすべく、こだわり抜いた、かゆいところに手が届く数種類のオリジナルスティックをご用意。今後、数回にわたり、あらためてドラムシティスティックをご紹介させていただきます。
テスターに、浅草ドラム道場 講師の市川宇一郎氏をお迎えし、実際の使用感やおすすめのポイントを語っていただきました。
※この記事は2021年4月発行「JPC 168号」に掲載されたものに加筆修正をしたものです。
▶記念すべき第一回目にご紹介するのは DX-18 OAK & HICKORY
数十年前、G.S.全盛だった時代、そして国内で入手できるドラムスティックの種類がそれほど多くなく、海外モデルも高額で手に入りにくかった時代、抜群の品質の高さと手頃な価格で多くのドラマーから愛されたStimmung DELUXE 18。生産が終了し随分と時間が経ったことで入手困難を極める中でも、このモデルを探すドラマーは数多くいました。
「そんなに望まれているのであれば、作ってしまおう!」ということで、Stimmung DELUXE 18の完全復刻を目指して製作されたのがこのモデルです。
当初、まともな状態のサンプルが手元になく、開発は難航しましたが、幾度かの試作を重ね、ついに完成!
SNS等で告知をさせていただき、その存在はじわりじわりと広がっていったと記憶しています。
(手にしていただいた方々の口コミにも大いに助けられましたね。多謝感謝。。)
発売当初はオーク材のみでのリリースでしたが、その後たくさんの要望をいただき、2020年ヒッコリーバージョンを新たにリリース。
今では、どちらのモデルも常に高い人気を誇るアイテムに成長しています。
▶実際にこのモデルをご愛用いただいている市川宇一郎さんに使用感などを伺いました
こんにちは、浅草ドラム道場の講師をやっています市川宇一郎です。今回からドラム・シティのオリジナルスティックのレビューを数回にわたって寄稿することになりました。
ひとつヨロシクお願いします。
さて、ここで今更「スティックの選び方」なんて書いたら「初心者じゃあるまいし、そんなこと知ってるよ」と怒られそうですが、まぁ、お付き合いください。
まず、スティックを選ぶときは、店の選択も重要です。スティックなんてどこで買ってもおなじ、ナンテ考えちゃイケマセン。通販で安く買えるからといっても、箱を開けたら重さもバラバラで、ソッたものが含まれているかも知れないのです。スティックだってリッパな楽器。ぜひ、在庫の豊富な店へ行って、自分の目と耳で選んでください。
店へ行ったら、スタッフに断って、スティックを平らな場所でコロコロころがしてソリのないものをピックアップしましょう。こうして選びだしたスティックの重さを1本ずつ計り、好みの重さだけに絞り込むのです。その際、1グラム以内のわずかな誤差は良しとしましょう。あまり完璧にこだわると、1セットも買えないこともあります。そして、ここが大切なんですが、こうして選び抜かれたスティックを1本ずつおなじ側の手におなじように持って、練習パッドのおなじ位置をおなじ強さで叩くのです。すると個々のスティックのもつ音質や音程の違いがわかってきます。神経質すぎるのもいけませんが、できるかぎりおなじ音色・音程のスティック同士を選び、ペアにしていくのです。これが私流のやり方です。けっこう気に入ったものが選べますよ。
さて、前置きが長くなりましたが、今回みなさんに紹介するのは、かつて国内でとても人気のあった懐かしいモデルの復刻版です。私が子供の頃、ラディックやロジャースといった輸入スティックは大きな楽器店にしか無く、町の楽器店で買えるのは国産品が大半でした。そんな国産スティックのなかで群を抜いて良かったのが、今回のモデルなのです。もともと指揮棒をつくっていたM社の製品ですから、その品質は高く評価され、プロが使うことも多かったように記憶しています。
このモデルの最大の特徴は、なんと言っても、握る部分(グリップ)がやや細く削られていることでしょう。その為、重心が少し前にせいか、振ったときに独特の軽さがあります。チップ(先端)は米ツブのような楕円型で、ジャズやポップスなどオールラウンドな演奏にうってつけです。材質はヒッコリーとオークの2種類。適度なしなりと反発があり、あたたかい音色を求めるならヒッコリー、振った感触が直線的で硬くシャープな音色を求めるならオークが良いでしょう。
今回、私は53 ~ 54グラム台のヒッコリーと59 ~ 60グラム台のオーク・スティックを数ペアずつ選びました。どちらもわりと重いタイプですが、このモデルのショルダーの細さを考慮し、あまり音が細くならないよう、あえて重いものにしました。と言っても、グリップがやや細くなっているため、さほど重さは感じさせません。また厚手の塗装が手にしっくりくるので、フィット感に優れています。それに加えて、ロゴのデザインがいい。メーカーの自己主張の強さを反映したようなハデなものじゃなく、地味だけどしっくり収まっています。
どこを見ても似たようなスティックばかりが目立つ昨今、歴史あるメイド・イン・ジャパンの個性的なモデルを体験してみるのも、きっといい経験になるでしょう。
それじゃ、また次回! バイバ~イ。
執筆者:市川 宇一郎
編集:Drum City