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カスタネット演奏にちょっとした革命! Casta-Nova/ カスタノバ
「Casta-Nova / カスタノバ」
カスタネット演奏の“ふつう” を塗り替える新しい補助器具!
2021年7月発売開始から、瞬く間に噂が広まり、今非常に注目度の高いこのアイテムをご紹介いたします。
さらに!今回Casta-Nova の開発を担当した、コマキ通商営業部部長 内山洋樹氏に開発にまつわるお話をお伺いしました!
取材:パーカッション・シティ
取材協力:コマキ通商株式会社
※この記事は2021年10月10日発行「JPC 170号」に掲載されたものです。
■ カスタノバってこんなもの
いわゆるフラメンコ・カスタネットと呼ばれる二枚貝状のカスタネットは、日本でもよく使われる定番打楽器アイテム。しかしながら、持ち替えの時に準備の時間が要るとか、柄付きだと音色があまり良く無いなど、何かしらの煩わしさがついて回ってきたことは事実。
そこで考案されたアイテムがこの「カスタノバ」です。
一般的なスペイン製のカスタネットにはメーカーを問わず装着可能で、「指当て」の部分に合うように設計されているため、元々付いている指に結わえるひもをそのまま使い、簡単に装着できます。
カスタノバを装着されたカスタネットは、「二枚貝」が上下ぴったりとズレずに合わさり、横ブレがなくなるため、演奏は格段に安定します。他の楽器からの持ち替えも余裕です!
「膝打ちのひとつ打ち」のみの演奏でしたら、本体のプラスティック部分の装着だけで快適に、またロール奏法がある場合は、付属の「延長スティック」を装着することで「2つ打ちロール」が軽やかに決まります。
<カスタノバの特徴>
- フラメンコ・カスタネットの指当て部分に、元々付いているひもだけで装着できます。
- 「カスタノバ」の装着されたカスタネットは、横ブレがなくなり、膝打ちの演奏が格段に安定します。
- 他の楽器からの持ち替えも余裕で完了!
- 延長スティックを装着すると、膝打ちのロール奏法が超安定!
■ カスタノバはこんなに小さい! 実際に触ってみた!!
既出のフラッパーカスタネットに見慣れてしまっていて、比べるとそのサイズ感に驚きです。
サイズがコロッと小さいし、カスタネットへの装着はちょっとコツがいるのかな?と思いつつ、説明書を見ながら実際にカスタネットを取付てみると、想像以上にあっさりと完了、装着はとっても簡単!!
元々カスタネットに付いている紐を引っかけるだけで、カスタネットがピッタリフィットします。
どのメーカーのカスタネットでも大体は対応できると言われているのはさすが、なかなかに考えられている…!!
実際に鳴らしてみると、カスタネットがとても演奏しやすい!
カスタノバのおかげでカスタネットが常に程よく開いてくれているので、自分で開き具合を微調整しなくとも簡単に良い音で鳴らすことができます。
ロール奏法をしたい時は、延長スティックをカスタノバに装着して鳴らしますが、これもまたびっくりするほど簡単にロールになりました。
なんとなくカスタネットに苦手意識があって、カスタネットの扱い方に慣れていなくても、カスタノバでそのハードルを下げられるかも?!
手が小さいスタッフでも持ちやすく、扱いやすかったので、老若男女問わずぜひ一度試してみていただきたいです!
このカスタノバのセットには収納袋が付いているので、本体と延長スティックをまとめて収められます!
これには制作者の優しさを感じずにはいられません(笑)
■ 考案者に聞く! 開発裏話!?
カスタネットの演奏にちょっとした革命をもたらす補助器具であるカスタノバ。
開発のきっかけや、完成に至るまでの苦労など、開発を担当した内山洋樹氏に、お話を伺った。
吹奏楽の現場でカスタネットの相談を受ても、「これだ!」とハマる提案ができないことが多かったんです
Q.まず、カスタノバのコンセプトについて教えてください。
カスタネットの王道=フラメンコ・カスタネットのサウンドを、より快適に、よりシンプルにお楽しみいただくためのアイデアグッズ、というところでしょうか。
Q.そもそも何故カスタネットの補助器具を作ることになったのでしょうか?開発に至る経緯(背景)を教えてください。
そもそも、営業で吹奏楽の現場を訪問することが多いのですが、時折カスタネットの相談を受けると、製品で「これだ!」とハマる提案がなかなかできないことが多かったんです。
従来のカスタネット製品の選択肢って、ガチのフラメンコ・カスタネット、そのスペイン系の製品に柄をつけた「柄付きカスタネット」、そして持ち替えの簡便さを求めた「テーブル・カスタネット」の類。
そして、柄付きのものは決して「これでバッチリ」という感じがしなかったんです。長い柄が付いているのに首が座らないから結局根本をしっかりホールドしなきゃならなかったり、フラメンコ製品のものに無理に金属板を噛ませてる状態とか、音色まで台無しにしちゃってるし。
あと、ゴム紐であの金属板に固定するのって結構難儀しますよね。ゴム紐の交換の依頼があって、もともと小さい穴になっているのはゴム紐が引っ張られて細くなっても紐が踊らないようにという配慮なんでしょうけど、1 回通しでは安定しなくて、2 回通しでもまだまだ(?)、えいやと3 回目(かなりツライですが)なんとか通してやっと少し安定する。
あと、弊社にはグローバーというアメリカのブランドがありまして、そこの柄付きのカスタネットはなかなかの完成度なんですが、如何せん高い(苦笑)。
だから誰にも彼にも勧められない。こういうにっちもさっちも行かない日々がおよそ10 年は続いたと思います。その間、何かいい方法があるはずだ、指に結わえることに特化したあの形状を生かした方法が…と逡巡に逡巡を重ねる日々でした。
きっかけは、吹奏楽コンクールの課題曲でした。あの宮川彬良さんが手掛けた曲で、カスタネットが大活躍する!と聞き及びまして、これはカスタネットの需要がきっと来る!と思い立ちまして、急ピッチで試作に取り掛かったんです。そしたらコロナになって。
間に合うはずもない開発スタートでしたが、コロナのおかげで1 年コンクールも延期。課題曲も持ち越しが決まり、開発もじっくりできる余裕ができました。
こうやって振り返ると、なんていうか、これはもう私の執念だけかもしれませんね。
フラメンコ・カスタネットは、フラメンコ奏法が最高なんです!
Q.カスタノバの開発にあたり、どのような点に注力されたでしょうか?
とにかくフラメンコ・カスタネットは、フラメンコ奏法が最高なんです。それは認めざるを得ない。
しかし奏法の難しさはこの楽器の魅力を輝かせてはいますが、ある意味一般の打楽器奏者を遠ざけている現状はあると思います。その間を取り持つよりよい方法を見つける、という点はブレずに持ち続けました。
カスタネットの2枚貝は、両者の先端部分が正確に当たって初めてあの響きのある芳醇なサウンドが鳴ります。根本の支点がズレていても響きが逃げてしまい、音色は台無しです。まず根本を安定させることが第一。人の親指に結わえて一番安定するように出来ていますので、初めは「親指様の骨付き肉っぽい棒」を考えました(笑)。
じっさいそんな形状の試作品もあるんですが、ヨメさん(打楽器奏者です)に試してもらったら、指に結ぶ場合と比べるとやっぱり違和感がある、と言われて泣いて帰りました。
器具自体が大きいと、手のひらの中で違和感が拭えないということなんですね。器具があることでカスタネットに集中できないのは本末転倒だなとも思いました。
その「棒状体」の試作も、結局横ブレが起きてしまい、棒ではダメだとなり、そこからは本格的に試作が展開されましたね。外注に出して10 万とかかかるケースもありましたが、その頃には社長や上司にも企画意図とかまで共有できていたので、予算も取ってもらい、少しずつ形にしていきました。
フラメンコ用のカスタネットは、指に結わえるように出来ていますので、大体の製品に問題なく装着できます。多少フィットしなかったりするものもありますが、概ね良好な装着状況ですね。
カスタノバはあくまでフラメンコ・カスタネットを膝打ちするための補助器具です
Q. 延長スティックは既存のフラッパーカスタネットの柄に比べて短いですが、これにはどういう意図があるのでしょうか?
まず「フラッパーカスタネット」っていわれると、どうしても私なんかは「3 枚板のカスタネット」を想起しますので、「フラッパー=ロール用」「柄付き=膝打ち用」と分けて考えたいですね。
柄の長さは、必要ないからです。
カスタノバはあくまでフラメンコ・カスタネットを膝打ちするための補助器具です。膝打ちに最低限必要なコンパクトなグッズを目指したんです。
そしてこの短い柄は「ロール奏法」のための延長スティックです。
カスタノバ本体だけですと、ロールの際に持つ場所がおぼつかないくらい小さいので、ロールのときだけスティックを持っていただければと思います。
指は緊張から開放され、カスタネット自体の響きも指の緊張から開放される
Q.カスタネット演奏にちょっとした革命、とありますが、今後の展望などありましたら教えてください。
これ自体がちょっとした革命と思ってるんですが(笑)。
カスタノバを装着したら、カスタネットの奏法は変わります。指に結んでいても、従来の柄付きでも、実際に演奏する際は、指周りがズレないようにガチガチに緊張している場合が多いはずです。
それがカスタノバなら、指は緊張から開放され楽になります。つまり、楽器自体が安定するので、カスタネットを不必要に力を込めて持たなくても良くなるんです。
すると、カスタネット自体の響きも指の緊張から開放されます。これは革命!じゃないですか?(笑)
実際にお使いになった楽団の方からの感想でも、「カスタネットが怖くなくなっただけじゃなく、サウンドが飛び抜けて良くなったんですよ!」という嬉しいご報告まで頂けました。
今後の展開としては、まだ具体化はしてませんが、テーブル・カスタネットの演奏環境は、まだ可能性が残っている気がします。