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パンデイロWS講師 見谷聡一だったらこう選ぶ! PANDEIRO SELECTION
パンデイロを買いたい!というときに、メーカー、大きさ、材質など、様々な選ぶポイントがあり、どのように選べば良いのか、迷う方は多いでしょう。ご来店でご質問いただく方、遠方の方からもお電話やメールで、どのようにパンデイロを選んだらいいですか?っていうお悩みをうかがうことが実はすごくあります。そこで今回、当店のパンデイロワークショップ講師である見谷聡一氏に「このお悩みにはこれを選ぶ」というパンデイロをお伺いしてみました!
※この記事は2020年10月10日発行「JPC 166号」に掲載されたものです。
Q1.一番普通の、スタンダードなのってどれですか?
ブラジルのコンテンポラネアというメーカーのパンデイロが、一般的に楽器屋さんに置いてあることが多い、という意味で“普通”なのかなって思います。
中でも、PDMV105Cというモデルのパンデイロが、日本で手に入る一番スタンダードなパンデイロなのではないかと思います。
この「コンテンポラネアのジングル」とヤギ皮、このやや厚みのあるボディっていうのが、よく耳にするパンデイロの音ですね。
パンデイロっていろんな種類があって、こういう音楽にはこのパンデイロというのが実はあるんです。例えると、ドラムセットでは、ジャズの時とロックやヘヴィメタルをやる時とでは、スネアとかシンバルのチョイスを変えますね。その感じ。ブラジル音楽の中でも、サンバを演奏するするのか、ショーロ(ソロの即興演奏が入るブラジルのポピュラー音楽の一種)を演奏するのか、はたまたMPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラの略で、ブラジリアンポップス)とか、バイヨン(ブラジルのダンス音楽)をやるのかで、パンデイロも同じようにジングルの素材とか、本皮なのかプラスチックヘッドなのか、とかで選びます。
このPDMV105Cは、何向きっていうのが逆になくて、いろんな音楽に使えるようになっています。ご自身がやりたい音楽とか、こういう音が欲しいっていうのを店員さんに言っていただければ、そのときにある最適なものを選んでいただけると思います。
Q2.ネットで買ったパンデイロが重くて叩きづらいのですが、とにかく軽いのはどれですか?
パンデイロに関して“重い” っていうのはよくあるお悩みですね。
物体としてはそこまで重くないものではあるんですが、演奏の際に片手で持つという動作をした時に、その手に負担がかかりやすいです。
なので、そのように多くの方が軽い楽器がいいと言われるのでしょうね。
そのようなお悩みには…京都が誇る打楽器工房ペルクサンガの、その名の通りライトシリーズです!これがJPCさんにある中でいちばん軽いです!
同じのを持っているのですが羽が生えているくらい軽くて、持っているのかな?!って勘違いしてしまうくらい(笑)軽いです。
楽器って、質量によって音量とか音圧が決まって来るので、重ければ重いほど低音が出たりとか、音量が出たりするので、軽いということは音量・音圧は抑えられてしまいます。でも、軽いことで演奏のしやすさはピカイチです、初心者の方にもバッチリです!
あともうひとつは、マルメラアダのハンドハンマードモデルですね。ジングルをシンバルみたいにハンマーで叩いて、1枚1枚手作りで精魂込めて作られています。このジングルは最高!
2機種とも同じブラス材質のジングルですが、合金の配合が違うことで、ぜんぜん音が違っていてどちらも良いですね。
Q3.バンドでドラムセットが入らないとき、代わりにパンデイロを入れたいんですが?
パンデイロはドラムセットの代わりになりません!(笑)
確かにドラムセットの音色に似ているというものもあります。それは何が似ているのかというと、低音・中音・高音が1台で出せる楽器なので、ドラムセットでいうとバスドラ・スネア・ハイハットのような音を出すことが出来るというのはもちろんあります。
それをご理解いただいた上で、ドラムセットのようなニュアンスのパンデイロを選ぶとしたら、REMOのパンデイロです!
スキンディープという種類のヘッドが特徴的ですね。裏側にリングミュートが付いて低音がすごく効いていて、バスドラムのドンっという音に感じられます!ドラムセットの代わりというイメージをされる音にすごく近いと思います。
Q4.手が小さくて上手く掴めません。ミュートをするときに指も届かないのですが、どれがいいですか?
パンデイロはボディに厚みがあると手が届かないんですね。このボディの厚みっていうのは手のひらの長さなんですね。パンデイロを持つときに関わってきます。だから、手の小さい方はおのずと短くなるので届きづらいと。薄いのないのかなって思いますよね?あるんです!
PDMV105CRTというモデルです。スタンダードなものとしてご紹介したPDMV105Cと比べて、厚さが少し薄いです。見た目に分かりづらい違いですが…
でも、パンデイロって面白いもので、重さも薄さも、ちょっとの違いだけでかなり感覚が変わるんですよ!
Q5.見谷さんのライブを見てやりたいなって思いました!おすすめはどれですか?
僕はパンデイロを20年以上叩いています。いろんなパンデイロを使ってきて、人よりちょっとだけ多く叩いているので、もちろん好みとかはあります。
とにかく! JPCエスニックシティにあるパンデイロだったら間違いはないです!
楽器の重さとか音色とか、やりたい音楽とか色々と関係してくるので、この楽器が一番ですっていうのはなかなか言えないんですが…強いて言うならば、ペルクサンガの2WAYモデルですね。
何が2WAYなのかと言いますと、ブラスジングルとシルバージングルが付いていて、しかも持ち手が二つあるんです。2種類の音を一つの楽器で出せるという画期的な1台です。
サイズは、一般的な10インチのパンデイロよりひと回り大きい10.5インチで、ジングルが6カ所付いています。
京都のペルクサンガへ行きまして、職人の坂東さんとああでもないこうでもないと、やりとりさせていただいて生まれた楽器で、めちゃめちゃおすすめです!
■ 見谷聡一(みたにあきかず)プロフィール
様々な打楽器やリズムを駆使し、変幻自在なパフォーマンスでキッズからお年寄りまで魅了する打楽人。
テーマパークや大道芸、全国の小中学校、果てはタモリ倶楽部まで爪痕を残しまくる卓越した話術とポップなキャラで世の中を渡っている。
ブラジルの打楽器「パンデイロ」の演奏、研究、普及に力を注ぎ、老舗打楽器店JPCにて2011年よりワークショップを開講。延べ300 人以上の弟子を輩出。
「明るく、楽しく、わかりやすく!」をモットーに音楽の楽しさ、リズムやグルーヴの奥深さをお伝えしています!
執筆者: 見谷聡一
編集:Ethnic City