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竹柄に直ネジ復活!KATO.B.Kフランネルマレット新モデル「Dresdner type」
「竹柄に直接ネジ山を切る」製法が復活!
竹という素材の性質上、加工が難しい「竹柄に直接ネジ山を切る」製法が復活。KATO.B.Kフランネルマレットの発売当初はこの製法でしたが、量産が難しく現在の仕様にモデルチェンジしていました。
以前の機械よりも精度を増したネジ切りマシンを再製作し、満を持して「Dresdner type」としての発売となりました。
ヘッド素材と竹柄の間に別の素材が干渉しなくなる事で、発音や手に伝わるダイレクト感が格段に向上します。
この新モデルについて、製作者の加藤氏、すでに使用している奏者の皆様からコメントをいただきました。
※この記事は2020年10月10日発行「JPC 166号」に掲載されたものです。
●加藤明広氏コメント
ゾンダーマンさんの衝撃的出現で、私にとって新しいタイプのフランネルに出会いました。初期モデルは竹柄にネジ切りをしていたのですが、強度が不安定だった事もあり壊れにくいプラスチック材に変更していました。友達の機械屋さんと一緒に考えて新しい機械を試したりもしていたのですが、納得いく機械が出来ず長い時間が過ぎてしまいました。色々考えたり話をしたりして、ようやく良い機械が完成し、沢山の方達が待ち望んでくれていた直切りを復活させる事が出来ました。
既に5組以上のDresdner typeをお持ちのティンパニ奏者の皆さんからコメントをいただきました!
※敬称略、50 音順
●NHK 交響楽団 首席ティンパニ奏者 植松 透
オーケストラの響きを先取りして音楽の方向を指し示していく…それがフランネルマレットの最大の役割です。しかしその硬質な音色と引き換えに音程の不確かさがつきものでした。
師ゾンダマンがここぞという時に使っていたフランネルマレット、シャープでありながら得も言われぬ柔らかな音程感がオーケストラ全体を包み込むその瞬間の美しさに、感動を超えて畏敬の念すら覚えていました。
そしてとうとう、やっと、その忘れられない響きに再び出会うことができたのがこの「Dresdner type」です!
竹のねじ切りによって混じり気の無い素材そのものの強さとしなやかさが、素朴で濁らない素直な音色に結びついています。なんて美しい!!
加藤さんの絶大な音楽感に支えられた、飽くなき追求心と技術革新に心から尊敬の念と感謝を表します…。
●NHK交響楽団 首席ティンパニ奏者 久保 昌一
待望の新シリーズ発売!
もう彼此30年も前になりますか…加藤明広さんのティンパニ・マレット研究を少しお手伝いしておりました。
当時ペーター・ゾンダーマン先生(※)がNHK交響楽団(以下、N響)に客演ティンパニストとしていらしていて、加藤さんは忙しい東京フィル首席ティンパニストの重責を担いつつ、頻繁にN響の演奏会を聴きにいらしていました。コンサートの後は決まってゾンダーマン先生を囲んで宴会(笑)そこで先生からマレットについて様々なヒントを得ていらっしゃいました。一般的なフェルト・マレットはもちろんのこと、より長い歴史のあるフランネル・マレットについてゾンダーマン先生は持てる知識を惜しげもなく加藤さんに伝授。先生のマレットは、我々が通常使っているマレットよりも柄が短く、ネジが竹の柄に直接切ってありました。
この度のDresdner typeは、その時に得たノウハウを元に加藤さん独自の新技術により竹に直接ネジを切ってあります。従来のフランネルよりも奏者の感覚がセンシティブにヘッドに伝わり、よりダイレクトな音表現が可能となりました。18世紀からヨーロッパで脈々と受け継がれて来たフランネル・マレットを長年研究し尽くした加藤さんの結論、集大成と思います。別名ゾンダーマン・モデルと言っても過言ではないでしょう。
※Peter Sondermann (1920-1998) ドレスデン生まれ。R.シュトラウスの多くの作品を初演した名パウカーH・クナウアーの後任として1945 年終戦と同時にドレスデン国立管弦楽団のソロ・ティンパニストに就任。1986 年に同オケを定年退職後、88 年から度々 N 響客員ティンパニストとして1996 年まで日本で活躍。今年2020 年は、生誕100 年。
●東京佼成ウインドオーケストラ ティンパニ奏者 坂本 雄希
KATO.B.K.より初期モデルの様に竹に直接ネジを切る工法のフランネルマレット、その名もDresdner type が新しく発売になりました。私自身、初期モデルのフランネルを使っていましたが今回のドレスナーモデルはさらに進化をしています!以前のモデルと比べると音の抜けが気持ちよく自然にバチが振動している事が手に伝わってきます!
DFL,AFL,LwFL のラインナップはヘッドの大きさと重なっている生地の枚数の違いにより3種類あります。たいていのバチはハードになると種類を選べない事が多いので、このヴァリエーションは繊細なアプローチができて素晴らしいですね!たくさん種類があって迷ってしまう…という方に参考になればと使用した感想を書いてみました!
ドイツフランネルのDFLシリーズは直径36mm,34mm,32mmどれもオーソドックスでバランスが良く発音のクリアさ、倍音の出かたが素敵です。AFLシリーズ、こちらはDFLより厚めの生地を使うことにより重なっている生地の枚数がDFLより少なめになっています。硬さはちょうどDFLの三種類の間になっていますね。こちら二つのシリーズは響きも豊かなのでロールにも十分使えます!迷ったときには上記のDFLシリーズかAFLシリーズが汎用性が高いと思います。
セーム革とウールを交互に重ねたSFL-2807Kはかなり硬めなバチですが響きもあり機動力抜群です。細かいパッセージの時でもクリアな音程感を出せる事が特筆できる事だと思います。 ラインナップ中で一番ハードなLhFL-2614はもちろん硬くはっきりした音色なのですが、つい力技で演奏しがちなテクニカルなパッセージも発音のクリアさを利用して楽に演奏できます。ここぞという一発も力まずに音色重視で演奏でき効果抜群です。 LwFLシ
リーズはセーム革のみを使用したシリーズで、素材に質量があるのでシリーズの中では一番パワーが出しやすいと感じました。使い込んでセーム革がこなれてくるとまた一段とクリアな発音になっていくと思います。
WFLシリーズはいわゆるウィーンタイプのフランネルの様にウールを使用したものになっています。キャップの大きさの違いによりバチのバランスの変化が少ない中で発音の変化を作る事ができます。ウールと綿の生地を交互に重ねているGFLですがこちらもウールの響きが好きな方にもお勧めできると思います。私個人の見解ですが響きはWFLよりに感じました。ウィーンタイプが好みの方にはとても良いのではないでしょうか。
全てのモデルではないですが各々のモデルについて感じたことを書いてみました。 どれも素晴らしく本当にお勧めです!先日Dresdner type をコンサートで使いましたが、イメージする音をそのまま表現することができました!プロユースのクオリティのバチが市販されていることが驚きです!マイスター加藤さんのバチを是非この機会に体感してください!
●東京フィルハーモニー交響楽団 首席打楽器奏者 塩田 拓郎
竹に直にねじ切りになったこのフランネルは今迄使っていたプラスチックにねじ切りのモデルと比べ、アタックがはっきりして、尚且つ音程感も良くなり、とてもまとまりの良いバチに感じます。お陰で自分の音が聴きやすく演奏も楽になり、オーケストラの仲間からもとても聴きやすいと評判です。フランネルの大中小とセーム皮の大中小を使っていますがどれも素晴らしいクオリティです。
今まで僕が使っていたフランネルに関してはもう少しはっきりした音が欲しかったのと音量を出す為には相当叩かなければならなかったり、叩き込むと音が割れやすい等の問題があったのですが、その辺りの問題がほぼ全てに於いて改善されました。加藤さんありがとうございます!
●東京交響楽団 首席ティンパニ奏者 清水 太
長年待ち望んだ柄に直接のネジ切りがされたバチを使うことができることを本当に嬉しく思います。先輩ティンパニストの方々とマレット談義をする中で度々お話に上がっていた「昔のKATOマレットの竹に直接ネジ切りがされていたフランネル」。お話を聞くたびにその伝説のマレットに憧れを抱いていました。
普段の演奏活動の中でフランネルを使用することは多々あり、プラスチックという人工的な素材が挟まることでどうしても硬質で不自然な音が混ざってしまうと感じることがありました。
この度復活した竹に直接ねじ切りをされたフランネルの持つナチュラル且つクリアな打音、フレーズ感、音程感に至るまでクオリティは素晴らしく、奏者の意図をより深く音に再現してくれます。
現代ティンパニに求められる細かいニュアンスに対応できるように仕様・サイズは多岐に渡ります。特に印象的なのはスーパーハードのLhFLのバチで、直接のネジ切りの柄になったことで木バチとしても十分に軽さとサウンドを備えています。
日頃から加藤明広さんにはバチのことに限らず演奏や音楽のことなども相談させていただき、自分のティンパニ人生にはかけがえのない方です。加藤明広さんとゼーガース氏とのお話を聞いて音楽・ティンパニ・マレットを通したドラマに魅了されていき、その中でティンパニストはバチによって育てられると感じています。
すでに生きる伝説・巨匠である加藤明広さんの絶えぬ熱意と探求心によってこのバチが実現し、人生の大先輩が見せてくれる生き様に感動すら覚えました。ありがとうございます。
KATO.B.K フランネル「Dresdner type」 ¥17,600(税込)
お問い合わせ パーカッション・シティ 03-3845-3041
KATO B.K.フランネルモデル商品ページへ
2 コメント
Japan Percussion Center
to Teknik Industri
Hi there,
Thank you for your inquiry.
Unfortunately we are unable to provide information regarding the manufacturing methods of our mallets.
Thank you for your understanding.
Best regards,
Teknik Industri
What challenges did the manufacturing method for the KATO.B.K Frannel Mallet face due to the nature of bamboo, and how did these challenges lead to a model change for mass production?
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